JKYBメンタルヘルスプロモーションプログラムの実践校を募集します。
2024〜2028年度 基盤研究(B)
「レジリエンシー形成を基礎とする学校メンタルヘルスプロモーションプログラムの開発」
【研究組織】
研究代表者:川畑徹朗(神戸大学名誉教授)
研究分担者:西岡伸紀(京都女子大学教授),早見直美(大阪公立大学大学院准教授)
研究協力者:
工藤ひとし(新潟県新発田市・教育長),村上元良(京都府綾部市・元教育長),池田真理子(広島県福山市立野々浜小学校・元校長),青山俊美(広島県福山市立箕島小学校・校長),原田弥生(鹿児島県鹿児島市立犬迫小学校・校長),堀江 優(京都府綾部市立東八田小学校・教頭),吉田 聡(一般社団法人大津市スポーツ協会・事務局長),山下雅道(兵庫県姫路市立あかつき中学校・校長) ,長谷川亜紀(兵庫県神戸大学附属中等教育学校・養護教諭),酒井隆子(兵庫県丹波市立青垣中学校・養護教諭),宋 昇勲(日本赤十字看護大学大学院・非常勤講師)
【研究の背景と目的】
我が国の年代別自殺率の年次推移によれば,10代の自殺率は,他の年代が減少傾向にあるのに反して増加し続けている。こうした状況はコロナ禍で一層悪化し,2024年の小・中・高校生の自殺者数は過去最高の529人に達した。また,不登校者数やいじめの認知件数も過去最多となっている。
こうした状況を考慮し,本研究においては,思春期問題が深刻化する直前の小学校高学年から中学生期に焦点を当てて,ストレス対処スキル,対人関係スキルなどのライフスキル,セルフエスティーム,ソーシャル・サポート感などを中心的要素とするレジリエンシー(精神的回復力)を育成することによって,さまざまなメンタルヘルスの問題や危険行動を防止する(一次予防)ことを目指す。
【研究計画】
各年度の研究計画は以下のとおりである。
【2024年度】
・青少年のメンタルヘルスおよび危険行動の実態と関連要因に関する調査・文献研究
国内外の青少年のメンタルヘルスおよび危険行動の実態と関連要因に関する文献を収集し,分析する。
・メンタルヘルスプロモーションの内容に関する調査・文献研究
国内外の学校メンタルヘルスプロモーションの内容に関する文献を収集し,分析する。
【2025年度】
・プログラム試案の開発
小学校5年生用のメンタルヘルスプロモーションプログラムの開発に取り組む。
プログラムは,ストレス対処スキル,対人関係スキルなどのライフスキル,セルフエスティーム,ソーシャル・サポート感を中心的要素とするレジリエンシーの形成を目指す「ユニット1」と,具体的なメンタルヘルス教育である「ユニット2」から構成する。
・児童生徒用調査票の開発
児童生徒のQOL,メンタルヘルス,危険行動,その関連要因に及ぼすプログラムの効果を評価するための影響評価調査票を開発する。
・教職員用リーフレットの開発
児童生徒にとっての重要な環境要因の一つである教職員のメンタルヘルスの向上に資するために,リーフレットを開発する。
・児童生徒に対するパイロット調査
小学校数校をパイロット校として選定し,小学校5,6年生を対象としたパイロット調査を実施する。
・プログラムの試験的実施と形成的評価
パイロット校の小学校5年生を対象として,プログラムを試験的に実施し,形成的評価を実施する。
・プログラムの改訂
上記の試験的実施の結果を踏まえて,プログラムを改訂する。
・教員を対象としたワークショップの開催とプログラム実施校(介入校)の選定
教員を対象としたワークショップを,京都府宮津市,千葉県市川市,兵庫県伊丹市,広島県呉市,鹿児島県鹿児島市 北海道札幌市などで実施し,参加者の所属校の中から介入校,そして同一の地域から比較校(プログラム非実施校)を選定する。
介入校において教員を対象としたワークショップを2025年度中に実施する。
【2026年度】
・小学校5年生を対象として,無記名の質問紙調査(事前調査)を2026年4〜5月に実施する。
・介入校の小学校5年生を対象として,介入校の教員がプログラムを2026年5月〜2027年2月に実施する。
・事前調査と同一の児童生徒を対象として,同一の内容と方法で第1回目の事後調査を2027年2〜3月に実施する。
・小学校6年生用のプログラムを開発する。
【2027年度】
・介入校の小学校6年生を対象として,プログラムを2027年5月〜2028年2月に実施する。
・事前調査と同一の児童生徒を対象として,同一の内容と方法で第2回目の事後調査を2028年2〜3月に実施する。
・中学校1年生用のプログラムを開発する。
【2028年度】
・結果分析と総合的考察
影響評価の結果や形成的評価の結果に基づいて,プログラムの有効性を総合的に分析する。
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